「保育園と幼稚園」どっちにしようかな?

保育園と幼稚園、どっちにしようかな?とお悩みのお母さんも多いことと思います。行政的には保育園は厚生労働省管轄の児童福祉施設、幼稚園は文部科学省管轄の学校と区別されていますが、最近では、預かってくれる子どもの年齢や、保育時間等、どちらが早い、どちらが長いとも言えなくなってきています。これからの時代は、幼稚園か保育園かという区別ではなく、保護者が、自分の目で、ひとつひとつの施設を確認して、その、中身で選ぶ時代になったと思います。今回、ホームページを公開されている、明照保育園(愛知県)の中島章裕園長先生に保育園の役割について書いていただきました。


「ね、お母さん!一緒に子育てを楽しみましょう!」

中島章裕(明照保育園 園長)

私は、愛知県豊橋市にある「明照保育園」という私立の保育園で園長をしています。今回、のぞみ幼稚園さんから、保育園の立場からの発言をお願いされたので、保育園の役割を私なりに述べさせていただきます。当園は、園児が250人いますが、そのうち64人が乳児さんです。きっと、そんなに小さい時から、親と離れて集団の中へ入れられるのはかわいそうだとお思いの方もいると思います。そのような方は、是非一度お近くの保育園を覗いてみてください。そこには、きっと、友達と生き生きと遊んでいる子どもたちの姿が見られるでしょう。

言うまでもありませんがこの幼児期は、人間の成長にとって大変大切なものです。脳の発達から考えて、人格形成の6割が3歳までに、8割が6歳までに出来上がるという学者もいます。(でも早期教育を奨めているわけではありません。)それでは、この大切な幼児期にどのように過ごすことが子どもの成長にとって良いのでしょうか?

1.保育園の役割とはいったい何なのでしょうか?

「本来、子どもの生活や発達は基本的に家庭が担うもので、施設による教育(保育)は家庭教育を補助するものである」べきで、「園というものは、どうしても行かせなければならない人たちが、泣く泣く行かせているところ」と言う認識を持っている人も多いと思います。

私は、現在の保育園の立場を以下のように考えています。現在の家庭環境や社会の変化を考えますと、家庭や社会が、子どもにとって良い環境であった時代は過ぎてしまったのではないかと思います。一人っ子が増えて、大人との関係を主として育つ子どもが多いのではないでしょうか?親だけでなく、おじいちゃんやおばあちゃん、近所の人といった、違う価値観を持った人たちと接する機会が多くあるでしょうか?近所の子どもたちと異年齢を通じて遊ぶ機会があるでしょうか?地域に見守られて、地域の一員として育っているでしょうか?以前は、当たり前だったことが、今は経験しにくくなっているのではないでしょうか?それらを少しでも補うのが保育園生活だと考えています。けっして「保育に欠ける児童」をただ怪我をさせずに預かるのが保育園ではありません。家庭環境は確かに大切です。親とのふれあいも大切なのは言うまでもありません。そして、いろいろな親御さんが、いろいろな事情の中で子育てをしていますが、子どもを思う気持ちは一緒だと思います。子どもと接している時間に長短はあると思いますが,それがそのまま愛情の大小にはなりません。このことは、日々子どもたちと接している保母さんや実際、子どもを預けている親御さんこそが一番よくわかっている事だと思います。

2.みなさんは「三歳までの育児神話」をどう思われますか?

やはり、三歳までは、お母さんの手で子どもを育てるべきなのでしょうか?当園では、0歳児(4ヶ月頃)から預かっています。3年保育の子どもより、4年以上の保育の方が断然多いくらいです。兄弟でも、一人目は3年保育でも二人目以降は4年保育以上というのがパターンです。では、そんなに小さな時から親と離れて過ごすことは、子どもに良くないのでしょうか?子どもを犠牲にして親が自分の欲求を満たしているのでしょうか?毎年3歳児として入園してくる子に、とんでもない子が何人かいます。これは、先生や大人にとって扱いにくい子という意味ではありません。子ども自身の育ちが、まるで出来ていないのです。友達づきあいもぜんぜんできません。少しでも自分の思いどおりに周りがならないと暴れ出す子もいます。先生たちは、「もう一年早く預けてくれていたらね」と話し合っています。2歳児ならもっと柔軟性があって、集団生活にも入っていけたのにと思うからです。集団生活というとすぐ「一斉は良くない」とか「個性が育たない」という人がいますが、人間は一生を人と人とのつき合いで生きていくものではないでしょうか?「一人で遊ぶよりみんなで遊んだ方が楽しい」こんな当たり前なことさえ、今の子どもたちには当てはまりません。一人でおもちゃと遊んでいる方がいい、テレビゲームだって!確かに世の中が便利になって、人に頼らなくても生きていけるようになりましたが、そんな生き方が理想でしょうか?精神学者の間では、「母親が一人で密室保育をするよりも生後四ヶ月くらいから昼間は保育所に預け、集団保育を経験する方が子どもの発達によい」と言う説が常識のようです。なにも学者の意見だからでなく、日々子どもと接している私たち保育者は、ずっとそう思っていました。赤ちゃんにとって母親との関わり合いや信頼関係は大事ですが、母親と一日中いることが本当に子どもにとって、いいことばかりなのでしょうか?「子どもといるとおもしろくって、ちっとも飽きない」。このように子育てを楽しんでいるお母さんも実際多いでしょう。しかし、いろいろな子どもがいるようにいろいろなお母さんがいます。一時でも、子どもと離れて過ごした方が、心に余裕が生まれて、そのぶん、子どもと、いい関係になれる人は、思っている以上に多いのではないでしょうか?

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